事実と違う話を書かれ、それが広まっていく。自分の発言の一部だけを切り取られ、まったく違う意味で拡散される。デマの被害でまず知っておきたいのは、SNSへの通報は「その話が本当か嘘か」を判定する仕組みではないということです。
デマを含む投稿のうち、SNSの規約で扱えるのは、個人情報の晒しや嫌がらせ、なりすましといった「規約に当たる部分」です。話の真偽や名誉の問題は、日本の法律にもとづく削除の申出や、法務局・弁護士への相談という別の経路で扱われます。この記事では、その2つの経路の違いと、それぞれの窓口を整理します。
この記事でわかること
- SNSの通報で扱える部分と、扱えない部分
- 情報流通プラットフォーム対処法にもとづく削除の申出の窓口
- 法務局の人権相談、弁護士に相談する場面
- 記録の残し方と、周りの人に説明するときの注意
SNSの通報は、真偽を判定する仕組みではない
Xのルールには、一般の人についての誤った情報を一律に削除するという決まりはありません。個人情報に関するポリシーでは、うわさや告発、申し立ての類いは対象外と明記されています。Xのコミュニティノートは、投稿に背景となる情報を補足する仕組みで、ノートが付いても、ルール違反がなければ投稿は削除されません。
そのため、「このデマを消してほしい」という報告をそのまま送っても、規約違反なしと判断されることがあります。通報しても消えない理由は通報しても消えない・意味ないと感じたらでも整理しています。
規約で扱える部分を切り分ける
デマと一緒に、次のようなものが含まれていれば、その部分は規約にもとづいて報告できます。
| デマと一緒に含まれているもの | 報告の方向 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 住所・電話番号・勤務先などの個人情報 | 個人情報(プライバシー) | 晒されたら最初にやること |
| あなたの顔写真や、あなたが写った動画 | 本人の画像(プライバシー) | 顔写真を勝手に使われたとき |
| 侮辱する言葉、他の人に攻撃を呼びかける言葉 | 嫌がらせ・嫌がらせの扇動 | 容姿をけなす・悪口の投稿 |
| 同じ相手や複数のアカウントが繰り返し書き込む | 特定の人物への嫌がらせ | 嫌がらせが長く続くとき |
| DMや会話のスクリーンショットの切り取り | 写っている内容と使われ方による | DMや会話のスクショを晒されたとき |
報告では、「嘘だから消してほしい」ではなく、「どの投稿の、どの部分が、どのルールに当たるか」を書くと、審査する側に伝わりやすくなります。
法律にもとづく削除の申出(情報流通プラットフォーム対処法)
規約とは別に、2025年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法にもとづいて、権利を侵害されたとして削除を申し出る窓口が、大手のSNSに設けられています。総務省が指定した大規模なプラットフォーム事業者には、X、Meta(Facebook・Instagram・Threads)、Google(YouTube)、TikTok、LINEヤフーなどが含まれます。
指定された事業者は、削除の申出を受けたら、原則として7日以内に、削除したか、しなかったか(しなかった場合はその理由)を申出者に通知することになっています。7日以内に決まっているのは「通知」で、削除そのものではありません。
| SNS | 窓口 |
|---|---|
| X(旧Twitter) | ヘルプセンターの日本向けのページに、権利侵害の申出の窓口があります。対象の投稿のURL、侵害されていると考える権利、詳しい状況を伝える形式で、申し立てた人の情報は相手に開示しないとしています。 |
| YouTube | 「法律に関するポリシー」が窓口とされています。日本向けの名誉毀損のページでは、まず投稿者への連絡や、プライバシー・ハラスメントのポリシーでの対応を検討し、それでも必要な場合にフォームで申し立てる流れが示されています。申し立てには、なぜ事実でないのか、評判にどう影響したのかといった具体的な説明が必要で、裁判所の命令を求められることもあります。 |
| Instagram・Threads・Facebook・TikTokなど | 各社の窓口は、総務省が公表している大規模特定電気通信役務提供者の窓口の一覧(PDF)で確認できます。 |
申出の窓口で「どの権利が侵害されているか」を書くことは、法的な主張になります。何を書くべきか判断がつかない場合は、法務局の人権相談や弁護士に相談してから進めることをおすすめします。
法務局・弁護士に相談する
法務省の人権擁護機関(法務局)は、インターネット上の誹謗中傷やプライバシーの侵害について、削除依頼の方法を助言しています。相談の内容から人権侵害に当たると判断した場合は、法務局がプロバイダなどに削除を求めることもあります。電話は「みんなの人権110番」(0570-003-110)、ネットからはインターネット人権相談受付窓口で申し込めます。
デマで評判を傷つけられた、事実でないことを広められた、という場合に、それが名誉毀損に当たるか、損害賠償を求められるか、投稿者を特定できるかは、弁護士が判断する領域です。なお刑法では、名誉毀損(230条)は、公然と事実を示して人の名誉を傷つけた場合に、その事実が本当かどうかにかかわらず成立し得ると定められています(公共の利害に関わる場合の例外の規定もあります)。具体的な投稿が当たるかどうかは、弁護士にご確認ください。
そのほかの窓口はSNSの誹謗中傷・なりすまし相談窓口にまとめています。
記録の残し方
デマは、元の投稿が消えても、引用や転載で残り続けることがあります。経緯を示せるよう、次のものを残しておきます。
- 最初にデマを書いた投稿のURL・日時・アカウント
- デマを広げている主な投稿(引用・転載)のURL
- 投稿全体のスクリーンショット(日時とアカウント名が写る形で)
- デマが事実と違うことを示せる資料(元の発言の全文、やり取りの前後など)
記録の取り方はXの誹謗中傷を記録する方法で詳しく説明しています。
周りの人に説明するとき
家族や職場、学校など、ネットの外の人にデマが伝わってしまったとき、説明の材料になるのも記録です。いつ、どのアカウントが、何を書いたかを時系列でまとめ、元の発言や会話の全体を見てもらえる形にしておくと、話が伝わりやすくなります。
一方で、SNSで相手を名指しして強い言葉で非難したり、相手の個人情報を晒し返したりすると、新しいトラブルの火種になることがあります。公の場で反論や声明を出す前に、弁護士などに相談しておくと安心です。
よくある質問
デマを通報しても消えないのはなぜですか?
SNSの報告は、投稿が各社の規約に当たるかどうかで判断され、話の真偽は判定の対象ではないためです。個人情報、本人の画像、侮辱や嫌がらせなど、規約に当たる部分があればその点を報告し、真偽や名誉の問題は法律にもとづく申出や、法務局・弁護士への相談で扱います。
コミュニティノートが付けば、投稿は消えますか?
Xは、コミュニティノートは背景となる情報を補足する仕組みで、ノートが付いてもルール違反がなければ削除されないと説明しています。
情報流通プラットフォーム対処法の申出をすれば、7日で消えますか?
いいえ。7日以内と決まっているのは、削除したかどうか(しなかった場合はその理由)の通知です。削除するかどうかは各社が判断します。
フリーズXはデマの削除を手伝ってくれますか?
当社がお手伝いできるのは、各社の規約に当たる部分を報告するための記録の整理と、報告項目の選び方、説明文の下書きです。投稿の内容が事実かどうかを当社が判断することはなく、法律にもとづく申出の内容の検討や、相手との交渉は行いません。
規約に当たる部分の報告に迷ったら
デマと一緒に書かれた個人情報・画像・嫌がらせの記録の整理、報告項目の選び方、説明文の下書きをお手伝いします。
相談・見積りは無料です。報告の送信はご本人が行います。
本記事の位置づけ
本記事は、各プラットフォームの公式ヘルプと公的機関の公開情報に基づく一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。フリーズX合同会社は、法律相談、法的措置、通報や交渉の代行を一切行いません。投稿の内容が事実かどうかの判断も行いません。削除・凍結などの結果は各プラットフォームの審査で決まり、当社は結果を保証しません。名誉毀損に当たるかどうかの判断、損害賠償や発信者情報開示請求などの法的手続きは、弁護士にご相談ください。
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